CatBoost がリアルマネー運用に使われている 3 つの事例を「モデル設定」「特徴量」「時間足」の観点で整理しました。実務でパラメータを探る際のヒントとしてご活用ください。
事例① EUR/USD H1 ― MetaTrader 5 EA
概要
MetaTrader 5 上で回すシンプルなデイトレ型 EA。終値と移動平均の差分を 250 本ラグとして投入し、売買方向を 2 クラス分類。
パラメータ | 値 |
---|---|
iterations | 1000 |
depth | 6 |
learning_rate | 0.01 |
早期停止 | early_stopping_rounds=50 |
その他 | use_best_model=True , task_type='CPU' |
特徴量
- Close−MA 差分を 1〜250 本シフトして作成(計 250 列)
- 追加のテクニカル指標なし
- H1 データで約 10 日分の過去パターンを学習 MQL5コミュニティ
事例② BTC/USDT 15 分 ― 高頻度クリプト戦略
概要
15 分足でロング/ショート/ノーポジの 3 クラスを分類。190 超のテクニカル指標をマルチタイムフレームで生成し、Freqtrade 互換の自動売買ボットに実装。
パラメータ | 値 |
---|---|
iterations | 800 |
depth | 6 |
learning_rate | 0.2 |
l2_leaf_reg | 4 |
border_count | 80 |
random_strength | 0.5 |
leaf_estimation_iterations | 8 |
class_weights | [1, 2, 2] |
早期停止 | なし |
特徴量
- RSI, MACD, EMA, ATR, VWAP, Bollinger, ADX, ROC, EWO など 12 期間 × 多指標
- 出来高系 (OBV, ADL) を含み計 190+ 列
- Min‑Max スケーリング後に CatBoost へ投入
- 7 日間ドライランで累積 +4648 % のバックテスト成績を報告 Medium
事例③ GBP/USD & EUR/USD 日足 ― PCA × CatBoost 研究
概要
15 日分の OHLC と EMA/RSI/MACD を PCA (25〜100 次元) に圧縮し、翌日の方向性を 3 クラス分類。ハイパーパラメータは Optuna で網羅的に探索。
- 入力元は 15 日 × (OHLC + EMA5種 + RSI + MACD) = 165 列
- PCA で 25/50/75/100 主成分に削減
- 日足データで最高 正答率 86.7 %・累積利益率 86.7 % を達成
- 論文内で CatBoost は XGBoost/LightGBM と同等以上の精度と報告 ResearchGate
実務チューニング 5 つの着眼点
- 木の深さ (depth)
- H1〜15 min の短期なら 6〜8、日足以上なら 8〜10 が目安。
- 学習率 vs 反復回数
- 高頻度モデルは
learning_rate≈0.2
× 数百木、長期モデルは 0.01〜0.05 × 1000 木前後。
- 高頻度モデルは
- 早期停止の有無
- 検証セットを用意できるなら
early_stopping_rounds
を有効に。高頻度でオンライン再学習する場合はオフでも可。
- 検証セットを用意できるなら
- カテゴリ処理
- 通貨ペアや曜日などエンコーディングせずそのまま投入できる。
- 特徴量の作り分け
- 低遅延戦略ほど マルチタイムフレーム指標+出来高系、長期戦略ほど ラグ差分+PCA が有効。
まとめ
- CatBoost は 為替でもクリプトでも実戦投入例が存在し、
- 差分ラグ型、2) 大量テクニカル指標型、3) PCA 圧縮型 という 3 つの代表パターンで活躍。
- パラメータは depth 6〜10/learning_rate 0.01〜0.2/iterations 100〜1000+ が実例のレンジ。
- 特徴量は 価格差分 or 多指標 が鍵。取引スタイルに合わせて組み合わせると効果的です。
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