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【AI×FX】Catboostの歴史と特徴。他モデルとの比較

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はじめに
近年、機械学習を利用した自動売買や相場予測モデルの精度向上が求められる中、勾配ブースティング系ライブラリの中でも特に「カテゴリカル変数の扱い」に強みを持つCatBoostが注目を集めています。本記事では、機械学習トレーダーをターゲットに、CatBoostの誕生から進化、そして特徴やFX・株式トレーディングへの応用例までを解説します。


1. CatBoost誕生の背景と歴史

  1. Yandex社による研究開始(2016年)
    • ロシアの検索エンジン大手Yandexが、自社サービスのクリック率予測やレコメンデーション精度向上のために研究を開始。
    • 既存の勾配ブースティング手法(XGBoost、LightGBMなど)では、カテゴリ変数をダミーコーディングや頻度エンコーディングで前処理が必要だった。
  2. 「Ordered Boosting」アルゴリズムの提案(2017年)
    • カテゴリカル変数をそのまま扱い、「ターゲットリーク」を防ぐ新手法を発表。
    • 本来の勾配ブースティングで起こりがちな過学習を抑制しながら、高速学習を実現。
  3. 初版リリース(2017年10月)
    • Python/R向けパッケージとして公開。
    • GPUサポートや多クラス分類、ランク学習(Ranking)にも対応。
  4. 機能拡張とコミュニティの広がり(2018〜現在)
    • 可視化ツールやハイパーパラメータ自動チューニング機能の追加。
    • オープンソースコミュニティでの貢献が活発化し、実装言語もJavaやC++など多様化。
    • 金融分野をはじめ、広告テック、レコメンデーション、医療データ解析など幅広い領域で採用実績を獲得。

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Ordered Boostingが強力な汎化性能の引き出しへと繋がるんだ(‘ω’)

2. 機械学習トレーダーが知っておくべき主な特徴

2.1 カテゴリカル変数対応の容易さ

  • 事前エンコーディング不要
    • cat_features 引数に列インデックスを指定するだけで自動処理。
    • ダミー変数の爆発的増加を防ぎ、学習データ量を抑制。
  • ターゲットエンコーディングの改良
    • 従来の手法で問題となる「ターゲットリーク」をOrdered Boostingで回避。

2.2 過学習抑制と安定性

  • Ordered Boosting
    • 学習サンプルをランダムシャッフルし、一部を“先行学習”に使用後、残りでモデル更新を行う仕組み。
    • 結果として、学習中に本来予測すべきラベル情報が「漏れる」ことを防止。
  • デフォルトハイパーパラメータの品質
    • 他ライブラリと比べてデフォルト設定でも性能が出やすく、ハイパラ探索コストを削減。

2.3 高速化とスケーラビリティ

  • CPU/GPU両対応
    • 大規模データ(数千万行)でも分散学習&GPUで数倍スピードアップ。
  • 並列処理・マルチスレッド
    • マシンリソースを最大限活用し、高速にモデルを構築可能。

2.4 多彩なタスクへの対応

  • 分類(Binary, Multi-class)
  • 回帰(RMSE, MAE, Quantile)
  • ランキング(LambdaRank, YetiRank)
  • 時系列回帰
  • カスタム損失関数

3. 実践:FXトレーディングへの応用例

from catboost import CatBoostRegressor, Pool

# データ読み込み
X_train, y_train = load_fx_features('train.csv')
X_valid, y_valid = load_fx_features('valid.csv')

# カテゴリ列を指定(例:通貨ペア、曜日、時間帯)
cat_features = ['symbol', 'weekday', 'hour']

model = CatBoostRegressor(
iterations=1000,
learning_rate=0.05,
depth=6,
eval_metric='RMSE',
random_seed=42,
early_stopping_rounds=50,
task_type='GPU'
)

model.fit(
X_train, y_train,
cat_features=cat_features,
eval_set=Pool(X_valid, y_valid, cat_features=cat_features),
verbose=100
)

# 予測
preds = model.predict(X_test)
  • 特徴量例
    • ティック差分、移動平均乖離、板情報のカテゴリ化(上位5ティア注文の有無)など。
  • 活用ポイント
    1. 時間帯(セッション)や曜日といった周期変動をカテゴリデータとして扱う
    2. レンジ/トレンド相場の状態ラベルを追加し、モデルに反映
    3. 損益分布を考慮したQuantile回帰でVaR(Value at Risk)予測

4. 他ライブラリとの比較

ライブラリカテゴリ変数の扱いデフォルト性能GPU対応過学習抑制
CatBoost自動(Ordered)高い強力
LightGBM事前エンコード中〜高
XGBoost事前エンコード
  • まとめ:カテゴリ変数が多いデータセットや、デフォルト性能重視のトレーディングモデルにはCatBoostが優位。

5. Q&A:よくある質問

  • Q1. 学習データに欠損値が多い場合は?
    • CatBoostは欠損値を自動で扱います。特別な前処理は不要ですが、欠損パターンが重要な情報の場合はカテゴリーフラグを立てると良いでしょう。
  • Q2. ハイパーパラメータ探索はどう進める?
    • iterations, depth, learning_rateの3つが最も効果的。Optunaなどと組み合わせると効率的です。
  • Q3. モデル解釈性は?
    • SHAP値やFeature Importanceを利用可能。どの指標が相場予測に寄与しているかを可視化できます。

おわりに

CatBoostは、特にカテゴリカル変数が多い金融データや、安定したデフォルト性能を求めるトレーダーにとって強力なツールです。モデルの高速化・過学習抑制・GPU対応など、様々な特徴を活かし、FX自動売買の精度向上にぜひご活用ください。

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