MQL5で機械学習によるFX予測モデルを構築している方にとって、「CatBoostの木の深さって、ディープラーニングでいうとどれくらいの複雑さなの?」と疑問に思ったことはありませんか?
この記事では、CatBoostとCNN-LSTMの構造的な違いや予測精度を比較しながら、両者の「モデルの規模感」を探っていきます。特にMQL5でONNX形式のモデルを使っている方、モデル選定に悩む方にとって参考になる内容です。
🔍 比較の目的と背景
CatBoostは決定木ベースの勾配ブースティングアルゴリズムで、特徴量の扱いに強く、少ない前処理で高精度な予測が可能です。一方、CNN-LSTMは畳み込み+再帰ニューラルネットワークの組み合わせで、時系列や画像などの複雑な構造データに強いです。
では、CatBoostの木の深さが例えば「depth=8」のとき、それはCNN-LSTMで言えば何パラメーター分の情報を学習しているのでしょうか?

決定木を使用するか深層学習を使用するかでコードが全然違うから最初で最大の疑問だね(‘Д’)
🌲 CatBoostの木の深さ = NNの層の深さ?
CatBoostの木の深さとは、1つの木が何段の条件分岐を持つかを示します。
- 深さ8 → 最大256個の葉
- 複数の深い木が集まると、多層ニューラルネットのように複雑な非線形関係を捉えられます
一部の理論では「深さdの決定木 ≒ d層のNNと同じ表現力を持つ」とも言われています。
つまり、CatBoostのdepth=8モデルは、単層のCNNや小規模なLSTMと同等の表現力を持つ可能性があります。
🧠 CNN-LSTMモデルの構造とパラメータ数
一例として、以下のような構成が典型的です:
- CNN部:3×3のフィルタ × 64チャネル × 2層 → 約5万パラメータ
- LSTM部:ユニット数128〜256 × 1〜2層 → 約30万〜100万パラメータ
全体で数十万〜100万パラメータになることも。
📌 つまり、CNN-LSTMはパラメータで学習し、CatBoostは分岐で学習しているだけで、学習する「情報の濃度」は似ている部分もあるのです。
📈 精度比較:時系列FXデータでの例
ある短期予測(電力需要)では:
モデル | MAPE(3月) | MAPE(7月) |
---|---|---|
CatBoost (depth=8, trees=10000) | 2.72% | 2.81% |
BiLSTM (4層, 隠れユニット:256→32) | 3.71% | 2.76% |
→ 季節により優劣は逆転するが、全体ではほぼ互角。
FXのような時間変動性が高く特徴量が強く関係する場合、CatBoostでも十分太刀打ち可能です。
💡 まとめ:MQL5×FXにおける実装観点
モデル | 強み | パラメータ感 |
---|---|---|
CatBoost | 構造化データに強く軽量 | depth=6〜10で数千ルール程度 |
CNN-LSTM | 高次元・長期依存に強い | 数十万〜百万パラメータ |
MQL5でONNXに変換して使う場合、CatBoostは軽量で高速、CNN-LSTMは柔軟だが遅め。
✅ FXの特徴量が「価格差分」や「時間特徴量(Hour, Minute)」など構造化されているならCatBoostでも高精度が出せる
✅ 「価格チャートの形状」や「長期の傾向」などが重要ならCNN-LSTMが有利
🚀 実装ヒント
- CatBoostのONNXモデルをMQL5で使用するには、出力形状の調整([1,1]など)が必要
- CNN-LSTMは学習後にONNX変換 → MQL5で予測実装 → スケーラーの逆変換も忘れずに
いかがでしたか?
「木の深さ」と「ディープラーニングのパラメータ数」の関係をイメージできれば、モデルの選定やパフォーマンス改善にもつながります。
MQL5でのAI自動売買に取り組んでいる方は、目的に応じてCatBoostとCNN-LSTMを上手く使い分けていきましょう。
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